きたーーーーー
という叫び声がしたので上を見上げると、雪崩であった。
ブルークリフ軍団で唐松岳の南の大黒沢へいったわけ。天気も最高のなか八方の稜線をアイゼンつけてガスガスのぼること3時間ちょいかな。無事に国境稜線に到達。
写真はこっち
数日前に雨がふっていてその後雪だったので積雪安定性はちょい不安だったんだけど、ピットチェックしたら25センチくらいのところに弱層があるけどまあ大丈夫かなってことで稜線からドロップ。

雪は深いところで腰まであるわ、斜面はめっちゃスティープだしで心に残る1本。で、200メートルくらいおりたところで尾根にまわりこんで後続をまってたら…後続ではなく雪崩がきちゃったのだ。
どんな感じだったかというと・・・
0.1秒:きたーーーーという叫び声で上部をみる。
0.3秒:きたのは後続ではなく雪崩だと認識
0.6秒:逃げなきゃとおもったけど足がすくんで動かない・・・
0.8秒:雪崩が体のすぐ10メートル脇をながれていく
0.9秒:雪崩の風が体に到達。音もなんともいえない音・・・こわかった・・・
マジかにみた印象はというと・・・とにかく雪崩ってすっげーースピード&パワーなわけ。
時速100キロは出るっていうけどほんとにそうおもったね。あっというまにとおりすぎちゃったから。逃げようがない。そしてパワー。雪煙が数階建てのビルくらいの高さまで吹き上がる。巻き込まれたらもがいて逃げろとはいうけれど、でかいのに巻かれたらもがくもなにもなんもできないと思ったね。
さて雪崩をみて精神的にぐずぐずなチキン状態に成り下がってしまったんだが、そのまま大黒沢をおりるしかないので、精神にカツを入れてもう一回すべりはじめたんだけど、Tさんが「うーん、ノール部分おりるのやばいなあ・・」とつぶやきながら慎重に斜面に出た瞬間にスパっと雪がきれてまたも雪崩発生。もうだめ・・・さらに完璧なチキン状態に精神が・・・・ にしても滑り出す前に「やばい」とわかるのってすげえな。
降りるしかないわけだから慎重に滑っりおり、途中で数箇所厳しいところもあったんだけど無事に突破してようやく下山。夜の7時でもう真っ暗であった。朝8時から行動していたので連続11時間近く行動してたことになる。
今回、雪崩に遭遇しておもったのが、雪崩にまきこまれたら助かるかどうかは運の要素がきわめて強い点である。なんとなくビーコンもってたら助かる印象をもっていたりしたのだが、甘すぎ。あの速度と破壊力みちゃうとでかいのくらうとだめですな。
本にはよくでてますが、一番はセルフレスキューではなく雪崩にあわないように慎重に行動するってこと。そしてリスクを1%でも減らす行動をすること。たとえば1メートルでも高いところにいるとか走路と予想されるところから50センチでもいいから離れるとか。
もっとも雪山で滑らなければリスクを減らすどころかリスク0%になるわけだけどこればっかりはやめられない。一緒にいっていたNさんやKさんからGWに剣岳のインディアンクーロワールをやっつけようぜってさそわれてぐらっとくる自分もいたりしてほんとにブルークリフ軍団の人は懲りない人だなと思う。


